オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
そんな葵に、俺はキスしたくなって
葵のことを数秒見つめて、
そしてそっとキスをした。

「!」

「……葵が、次会う時まで頑張れるように、
おまじないや。」

「……ふふ、ありがとう。千洋。」

「どういたしまして。」

「千洋も、頑張ってね。
また、夏休みにこっち来るから。
頑張って、生き延びて。」

「……あんなぁ、葵。」

「ん?」

「……俺、手術受けようと思ってん。」

「え?」

「……こっち来て、病院変えて、
先生に勧められてん。
成功率あんま高ないし、どないしよか
迷ってたけど……葵の顔みたら
踏ん切りついたわ。」

「……っ……すごいよ、それ!
だって、治る可能性が
一ミリでもあるって事でしょ?」

「……あぁ。
でも、失敗することもあるて。
だから、葵に会うてから決めよって思って。」

「……そっか。」

「でも、決めた。
応援、しとってな。」

「……うん。する。
大丈夫だよ、千洋。強いもん。」

葵はそう言って笑って、ピースした。

(……あぁ。
この娘のために、生きんとあかんな。)

俺はそう思った。
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