プロポーズの夜
プロポーズの夜
あーあ。完全に熟睡してるよ。
今日はいつもより甘く濃厚なだった。
私はうつ伏せの真一郎(しんいちろう)の髪の毛をゆっくりと撫でながら
3時間前の事を思い出した。

「麻紀(まき)、俺と結婚してくれ」
それは突然だった。突然過ぎて飲んでたワインを吹き出しそうになった。
なんで今日なのだろう。
特に今日が2人にとって特別な日でもないし、バレンタインでもクリスマスでも
何でもない。本当に普通の日で、会う約束だって3日前にメールでいつもの様に
私の予定を聞いてそれに合わせて待ち合わせの時間といつもの場所。
とにかくいつも通りだった。
それが何で急に結婚なんだろう。
確かにプロポーズって、事前に知らせるものではなくサプライズな事だって
わかってるけど・・・・なんて言うか、絶対今日ではないって思った。
真一郎と結婚したいっていう強い思いが付き合う年数が増すごとに
徐々にヒートダウンしていた。
私と真一郎は付き合って5年。
何で今日なんだろう。

彼のプロポーズに私はすぐに返事が出来なかった。
真一郎は苦笑いをしながら
「そうだよな・・・今まで結婚のチャンスなんかいくらでもあったし、しようと思えば
できた。だけどしなかった。だから、麻紀が即答できないのもわかるしすぐに返事しなくていいよ…うん。ゆっくり・・・考えてよ。」
真一郎の言う通り私たちは結婚しようと思えば出来たのだ。
私も真一郎も仕事をしていたし結婚しても仕事を続けようと思ってた。
だけど私たちは何の進展もないままずるずると付き合って、気がつけば
5年の月日が流れてた。
「もっと・・・凄く感動するのかと思ったんけどなー・・・」
決して結婚を拒んでいる訳ではないんだけど
どうしてこのタイミングなのか・・・そう思う私はおかしいのかな?

< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop