悪態少女の恋物語〜運命の人を見つけてください〜
あれから。
バイクを少し走らせて
海に出た。
「気持ちぃ」
あたしは砂浜でコロコロと
砂にまみれる。
夕暮れの赤い海は、少し潮が冷たかった。
けど、砂がほっこりあったかくて
その温度差が気持ちよかった。
「理緒ちゃん砂だらけになっちゃうよ?」
お兄さんみたいにそう言い、
しゃがんであたしを覗きこむ深影。
「いーの。バイクで走ったら全部飛んでっちゃうよー」
うつ伏せに転がって、
砂を掬い深影にかける。
深影はこらって怒ってたけど
優しく笑ってくれてた。
「颯太たちはー?気持ちーよー、こねーのー?」
遠くから見つめる颯太たちの顔は
見えなくて。
「理緒ちゃん、日が落ちたら海は危ないからそろそろ行こう。」
そう言って深影はあたしの頭を撫でる。
「じゃあ今度お昼に皆でまたこよーね!」
颯太たちはずっと黙ったままだった。