さかさまさか
『ちょっと。さくらスイッチ止めて!!』
『はい!』
『悦子が倒れたよ!』
『はい。』
『悦子~。』
『林さん!悦子さん倒れたから休憩室に、運ぶの手伝って。艶さん!つきそって』

『おう。』
『私は、ご主人に電話して、お迎えに来てもらうから。』

『任せたよ。』
休憩室で艶さんが、パタパタと布巾であおいでる横で、ベンさんに電話する。
『あのベンさん?』
『さくらですが、悦子さんが倒れたので迎えに来ていただけませんか?』
『わかった。すぐ行く。』

十分後、裸足にサンダル、オシャレなステテコ、ヨレヨレのロンTを着た。
べんさんがいた。
いつも、髪もきれいに、オールバックにし、パリッとした、ワイシャツを着てるイメージしかない。
出掛けるのにも、私より支度に時間
かかるのよ。
と、えっこさんが、よくぼやいていた。

えっこさんのために、慌てて来た様子に愛を感じた。

『早く、病院連れてってやれ』
『はい。』
『病気じゃないぞ。きっと、ババァの勘だ。』
と艶さんが言った。
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