クールな先輩の心を奪う方法
その優しいキスに、私は目を閉じて、五感すべてで、保田さんを感じた。

保田さんのキスは、瞼から頬へ。

頬から唇に移った。

離れた唇がもっと欲しくて、でも言えなくて。
そっと目を開ければ、保田さんの優しい眼差しが映った。

「どうしたら、私の事、本気で好きになってくれますか」
「佐々木、俺は」

保田さんの言葉を遮って私の携帯が鳴る。

私はそれに出る事はせず、車を降りようとした。
「行かせない」
「保田さ・・・」


グイッと引き寄せられ、今度は強引なキスをされた。
強引なのに、どこか優しくて、私は無我夢中でそれを受け止めた。

…このキスの意味なんて知らない。
でも、今は、保田さんの心には、私しか映っていない。

それでいい。
私を求めてくれるなら、どんな形であっても。

それから何十分も、私と保田さんはキスをしていた。


・・・・・・。


「保田さん、好き・・・大好き、・・・」

「美雨・・・」

保田さんの低い声が何度も私の名を呼んだ。

それだけで、私は幸せだと思った。
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