クールな先輩の心を奪う方法
「なんで、泣く？」
そう言ってオロオロする保田さん。

そんな保田さんが、なんだか可笑しくて、泣いてるのに笑ってしまう。

「なんなんだよ、泣くか、笑うか、どっちかにしろ」

「…嬉し過ぎるんです。…保田さんは、雲の上の人だったから」

「大袈裟だな」

「そんな事ないです。皆言ってます。
保田さんは自分じゃ手の届かない相手だって…何もかも完璧で、彼女になる人は、保田さんに遜色しない、才色兼備の人だろうって」

「…俺はそんなに、完璧じゃない。
簡単に崩れそうなのをなんとか隠してるだけだ」

「…それが完璧だって言うんです。
私なんか、保田さんの足元にも及ばない…ダメダメで、隠すなんて、裏ワザは持ち合わせてません」

「佐々木はそのままでいいんだ。
変わる必要は全くない」

「…保田さんの彼女なんて、不似合いかも」

「ダメダメでいいんだ…
佐々木にないものは、俺が持ってる。
俺にないものは、佐々木が持ってる…
2人で補えば完璧だ」

そう言って、保田さんは微笑んだ。
< 41 / 100 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop