クールな先輩の心を奪う方法
告白してすぐに失恋とかありえないだろ?
…そう言えば今朝、大地はオレに何かを言おうとしてたっけ。

…美雨との関係を言うつもりだったのかもしれない。

でも、そんな事は関係ない。
美雨と大地が付き合っていようがいまいが、オレは美雨の事が好きだ。

美雨がいつもみたいにオレに笑いかけてほしいから、必ずこの手に入れてみせる。

もっと早く行動に出ていれば、違う方に進んでいたかもしれない。

行動にでよう。
そう決意するも、今週はすべて美雨は会社を休んだ。

・・・こうしてもどかしい時間を過ごしている間にも、2人の仲が深まっていくと思うとやるせない気持ちになった。

「…佐々木、どうすれば、オレの方を見てくれる?」
夜のオフィスの中、美雨のデスクをそっと撫でながら問いかける。

でも、その答えを机が答えるはずもない。

・・・こんな状況になって初めて、自分が思っていた以上に、美雨に魅かれている事に気付くなんて。
どんだけ鈍いんだよ、と、自分で自分に、飽きれた。

ふぅとため息をつくと、振り返った。


「…どうした?」
美雨のデスクからパッと、手を離す。
…まさか、まだオフィスに人がいたとは気づかなかった。


「…美雨の事、好きなんですか?」
切なげな顔でオレを見つめ、問いかける。


「・・・」
オレはその問いに答える事もせず、相手を見つめるだけ。


「片思いって、切ないですよね・・・
その気持ち、私にもよくわかります」

そう言って微笑んだのは。



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