クールな先輩の心を奪う方法
「安藤が、お前を介抱してくれたんだってな」

「…はい、仕事に没頭していて、自分の体調にも気づかなくて、それに気づいてくれたのが安藤さんで。

立ってられないほど体調が悪くて、家まで送ってくれて…。その後の事は、意識が、ハッキリしてなくて、あんまり…ほとんど覚えてなくて…」

そう言ってうつ向けば。

「…覚えてなくていい」
「…へ?」

「覚えてなくて、ホッとしてる」
「…?」

大地の言葉に首を傾げる。
すると大地は、困ったように笑って…

次の瞬間、ギュッと抱き締められた。

「…保田さん、あの、安藤さんと、何話してたんですか?」
くぐもった声で問いかける。

「…大した話しじゃない」
「…でも、怒ってるから」

「…弱みにつけ込む安藤が気に入らないだけだ」
< 59 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop