悪魔なゾンビ少女
「おはよ」
「…おはよう」
教室に着くと当然挨拶をされ、美香は先程と表情や声が変わらないように注意しながらそれに返事をした。
「…っ」
美香は視界の端に引き攣った表情の四人を捉えたが、気付いたことに気付かせずフラフラとした足取りで歩を進めた。
そして美香は突然四人へ顔を向けた。
ここに来る途中よりも虚ろげて生気を感じさせない表情を作って。
「ひっ…」
直樹が施したメイクも手伝って四人を竦み上がらせらる事に成功した。
その上恐怖で和成は椅子から転げ落ちていた。
なにも知らないクラスメイト達はそれを見て笑い声をあげた。
「何やってるんだよ」
笑いながらそう言った人もいた。
たが理由を知っていた美香は、虚ろげな表情を崩さずに保つことができた。
暫く笑いが続いていたが美香から目を逸らさず引き攣った顔を浮かべたままの四人と、蒼白い顔で四人を見つめたままの美香を見続けているうちに笑い声は薄らいでゆき、やがて教室の中はうって代わり静寂に包まれた。

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