光り輝く命~救ってくれたのは君だった~

そして五歳からピアノを始めた。

父は、里奈のために大きな

グランドピアノを買った。

父いわく、自慢の子供達だったらしい。

あたしはといえば、

いつもクラスの男の子と喧嘩して、

よく母に怒られた。

でも父は、そんなあたしを見て笑っていた

おしとやかにしろ!

なんてことは言わず、

夏菜は夏菜らしくしてなさい。

それが父の口癖。

兄はスポーツ万能。妹は成績優秀。

あたしはというと、勉強は中の中。

スポーツだけはできていたと思う。

そんなあたしたちを、

両親は分け隔てもなく可愛がってくれた。

幸せだった。

でも、そのときのあたしは、

それを当たり前のように

感じていたのかもしれない。

大好きな両親、そして兄妹。

いつまでもそばにいられる。

そう思っていたのかもしれない。

そしてあたしも成長し、中学に上がる。

家族に変化が訪れる。

まだ中学生のあたしには

受け止めがたい現実が待っていた。
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