Treasure
タタタタタタッ―――


綾女はいーちゃんに近寄って、何かを話していた。

残念ながら、聞こえへん。
あたしの愚痴やったら、聞いたろ思ってんけどな。

そうして、少し話した後、綾女は先に走って行ってしまった。


綾女が遠のいたことを確認すると、自然と溜め息が出た。


「はぁ……しんど」

「まぁまぁ! はよ行こ★」

「―――うんっ!」






このとき、知るはずもなかったんだ。
2人が話してたこと。

いーちゃんを信じてた。
信じきってた。




また、ドロドロした嫉妬の1日が始まる。
あたしは全然、気にもとめていなかった。

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