麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「ディセル、さがって。野生のプミールは気が荒いから、危ないわ」

そう言ったものの、野生のプミールがセレイアを見るなり歩み寄り、頭をこすりつけるようなしぐさをして甘えてきたため、信憑性がなかった。

いつからか、ヴァルクスのように、セレイアもプミールになつかれる不思議な体質になったようなのだ。ヴァルクスと一緒にいすぎたせいか…詳しいことはわからない。

セレイアになついた野生プミールだが、ディセルにはくわっと牙を剥いた。

それをプミラがなにやら鳴き、説得しているようにも見える。

野生プミールはやがて茂みの奥に去って行った。

「何を話していたの?」

セレイアがプミラを撫でていると、ディセルがはっと顔を上げた。

「セレイア、何か強い力を感じる…わかる?」

「強い力…? 私にはわからないわ」

「行ってみよう、こっちだ」

用心深く槍を構えながら、セレイアはディセルの背中を追った。
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