麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「―だから私は、姫巫女としてどこまでもあなたについて行って、あなたを守るの。スノーティアス様」

「セレイア……」

たまらずに、ディセルはセレイアを抱きしめた。

きつくきつく…もう離さないとでもいうように。

「ディセル…?」

とまどったようなセレイアの声。

「そう、そう呼んで……」

耳元でささやくと、腕の中のセレイアが赤面したのがわかった。

耳まで赤くなっているのが、たまらなく愛おしい。

もう二度と会わない覚悟で出てきたというのに、一度抱きしめてしまうと、もう離したくなかった。

好きだといつか、打ち明けたい。打ち明けても、いいだろうか…。

想いが溢れて、涙ぐんでしまう。

いつまでそうしていたかわからない。

えほん、と第三者のわざとらしい咳払いが聞こえて、我に返った。

するといつのまにか、フリムとクレメントがそこに立っていた。
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