麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
国立大図書館は、トリステアが誇る古今東西の知識を集めた図書館だ。

神殿からも水晶宮からも同じ十数分の距離でたどり着ける立地であり、国民なら誰でも無料で利用することができる。

石造りの重厚な建物の中に、何十万冊という膨大な図書が整然と並ぶ様子はいつ見ても壮観だ。

閲覧室の中は、人でいっぱいだった。無論、私語はほとんど無く、あっても皆小声だ。二人は手近な席に腰かけた。

右も左もわからぬディセルのために、セレイアはさっそく何冊か見繕って持って来た。

「はいこれ。創世神話とか、大陸図とか…私の説明じゃ足りなかった部分もあるでしょうから、読んでみるといいわよ」

「ありがとう」

しばしセレイアは神に関する書物を取りに席を外した。

腕いっぱいに書物を抱えて戻ってくると、ディセルが難しい顔をして創世神話を読んでいるところだった。セレイアもそっと文面を覗き見る。
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