麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
二人は同じ夢を抱く同志だった。

そのために、政治や軍事について聞き知った情報を互いに交換したり、武術の稽古も共にした。

二人が手にした得物は、槍だった。

国を守るためには、プミールに騎乗しての空中戦が要となる。そこで大切なのが、リーチの長い武器だったのだ。

セレイアはヴァルクスを師として、槍技を学んでいった。

最初は全身筋肉痛で体がふらつくこともあったが、やがて見事な才を見せはじめた。

夢のために、二人はともに歩み始めていた。

ずいぶんと幼い頃から、二人の間にすでに想いは芽生えていたのだろう。

だが、想いを確かめ合ったのは、二人が成長し、セレイア14歳、ヴァルクス17歳になった時のことだった。

ヴァルクスが突然、それまでのように気安く遊んでくれなくなった。

のちに聞いた話によると、セレイアがまばゆいまでに美しくなったせいで、意識しすぎてしまい、それまでと同じ態度でいられなくなったらしかった。

だが、そうとは知らぬセレイアは、完全にヴァルクスに嫌われたと思った。

自分でも驚くほどに、それはセレイアにとってショックだった。

何がいけなかったのだろう。

そう悶々と考え込むことに疲れ、セレイアはある作戦を決行した。
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