星の降る街
『…キレイ。』

カーテンを開けると真っ暗な世界にキラキラと星屑たちが各々に輝きを放っていた。

海は昼間より静けさを増して、遠くの方に僅かに船の灯りが揺らめいているだけ。星屑たちを引き立てているようにも思えてしまう。

『…ふふ、賑やかな食事だったな。』

絵理香は先ほどまでの情景を思い出すと現在とのギャップに笑ってしまう。

一人暮らしの絵理香にとって、これ程までに賑やかな食卓は久々のことで戸惑いながらも確実に癒されている。偶然とはいえ、この民宿に決めた自分を褒めてあげたくなった。

『明日も良いことがありますように…。』

絵理香は空に輝く星に祈るように呟くとカーテンを閉めて、部屋の人工の灯りをともした。


手早く準備を終え布団に入ると、初日の緊張感や疲れが一気に押し寄せてくる。絵理香は重たくなる瞼を閉じていく中で、薄っすらと浮かびあがる昼間の男の人の姿に何とも言えない温かい気持ちになりながら、そのまま夢の世界に入っていったーー。
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