彼氏より好きな人
保健委員
高校1年1月。

「…て言う風に放送するんやけど大丈夫かな??」


保健室の先生は私と、私の相方に説明する。


そう、明日から一週間は私達5組が換気運動の放送当番。


毎回毎回放送当番が回ってくる。


だけど私達は1年生なので今回が初めて。

相方の永久君を頼りたいんだけどー


大丈夫かな、と若干心配気味。


「え、これを言えばいいんすよね」


「そうそう、この通りに言ってもらったらいいから」


永久君は先生に質問をする。


「分かりました」


私の隣にいるこの、山野永久君。


実は彼がクラス一のイケメン君。


そんなイケメン君ともう、ずっと一緒にこの仕事をしてきた。


今までいろいろあったけど、最近分かってきた。


彼がいい人なんだって。


初めは嫌いだった。


顔はすっごくかっこいいんだけど


中身は私のタイプじゃなかった。


むしろ嫌いで。


愚痴ばっかり吐いてた彼の事が、頼れるし意外と優しい一面を知っていったあの日から、


まさかだんだんと惹かれていくなんて思いもしなかった。


怖いようなイメージがあった彼に話しかけづらくって、


自分の気分で態度変えて。


全部秋に言ったよね。


そしたら秋は笑って


『あいつ優しいけどね』


と、言われたのをおぼえてる。


それを聞く度、どこがと何度も疑ったはずだったのに。


秋だけだって、思ってたのに。


秋、ごめんね。


迷ってごめんね。


こんな彼女でごめんね。


彼氏じゃなく違う人のことを考えるのは片想いよりも何故か辛い。


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