WHY
すぐさま、「相手方の監督さん」が救急車を呼んで頂いた。




 ”あいつ”は相変わらず、その場から離れず携帯で電話をどこかにしていた。




 担架に運ばれつつ、私は副将の西に「あと頼むねっ!」と声をかけただけで、




 静かに目を閉じた。




 目を閉じた瞬間”あいつ”から、「おい目を開けてみろ!」




 血がで、顔中が覆われている最中で、救急隊員の方が一生懸命治療している中だ。

 「なんでですか?」




 私は抵抗気味の口調で返した




 「いいから…」




 顔を血でだらけの中、血だけはふき取り、ぱっくり開いた右目の上を、




ぎゅぅっと割れた皮膚を




 指でつまみ、その接合部分をばんそうこうで、




むりやり貼り付けた。




 「あっこれでいいので、会場に戻してやってください。」




 私はこの状態で戻れという、”あいつ”の感覚がやはり、信じられない。




 でも、自分も縫い目がまぶたにできるのは、いくら私も女性なので。

 
 流血がとまりかけていたので、大きな心配はなかったが、念の為と救急隊員が




 頭に障害が残ると危ないのでと、すごく誠意のある救急隊員で少しほっとした

 


 そのまま緊急で病院に向かうことになり、”あいつ”も渋々乗り込んだ…



 救急車は消したてて、夏の静かな街路樹を走り抜けた。










 
 家には電話は?そんな気配がないまま、病院へと急いだ…
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