夢道


だから、

笑顔を向けて

ノイさんにお礼を言った。


こんな気持ちにさせてくれた

ノイさんだから……


「ノイさん…………
ありがとう………ありがとう………
……ずっと怖かった………
でも……
私とっても安心しました……」


ノイさんは私に

あの優しい笑顔を向けて、

私の方に手を伸ばした。


私はその手を握り、

ノイさんの後ろを歩いた。


「放さないから……
寂しい思いなんかさせないから。」


ノイさんが自分に

言い聞かせるように

小さく言うその言葉が

私を安心させてくれた。




いつか……

全部話せるようになった時、

ちゃんとお礼を言おう…。


全部話したその後に…。


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