噂のお狐様
どのくらいたっただろう。

人もどんどん少なくなってきた。

「君・・・。どうしたの・・・?迷子?」

後ろから声がした。

そう、神社のほうから・・・。

私は怖くて後ろを見なかった。

いや、見れなかった。

「君も僕を怖がるんだね・・・」

「えっ?」

ふいに後ろを向いてしまった。

そこには私のお兄ちゃんと同じくらいの男の子が立っていた。

浴衣姿の黒髪の美少年が。

「お狐・・・さま・・・?」

「君がそう思うならそれでいいよ・・・」

そう言って階段を登っていく。

「そっちはだめ!お母さんに怒られちゃうよ!」

くるっと私のほうへ体を向けた。

そして、にっこり。

「よかったね・・・後ろ」

私は後ろを向いた。
そこには、私の名前を呼びながら走ってくるお兄ちゃんがいた。

私は、すぐに神社を見たがもうそこにはその子はいなかった。

あれは、夢だったのだろうか。
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