キミと見た、あの空を。
「さぁっ、こーい!!」

「よぉーーし!」


グラウンド中に響き渡る声が、あちこちから聞こえる。


「今はね、ノックしてるの。
うちは部員はそんなに多くないから、ボール渡しはマネージャーの仕事。」


「あ、じゃあ今、ボール渡ししてるのは…?」


「あれは、3年生の杉谷 凛(スギタニ リン)先輩だよ!うちは基本、1学年に1人しかマネージャーとってないんだ」


「1人なんですか!?」


「うん。人数いるとどうしても、争いが起こるからって、監督が。ほんと怖いよね〜、女子って。」


なるほど、そういうことか。


「ちなみに今年の希望者は、まだ愛桜ちゃんだけだよ。これからくるかもわかんないけど。
もし希望者が数人いたら、しばらくおためしで全員マネージャーやってもらって、監督が決めるんだ〜」


やっぱり、強豪校だけあって結構厳しそう。
だけど…


「あたし、ずっと野球部のマネージャーに憧れてたんです。だから何があっても、マネージャーになります!」


「そう言ってくれると嬉しいよ!じゃあ、今日はとりあえず見学ってことで、明日から体操服持ってきてもらえる?さっそく仕事教えるから!」


「わかりました!」


そのあとは、練習を少し見学して、先輩の話を聞いた。


学校の強化部でもある野球部は、夜は遅いとき、10時ぐらいまで練習をするらしい。
試合がある日はマネージャーも特に忙しくて、朝4時に学校に来たり、
遠征もたくさんあってお金がかかる。
親の協力が、何よりも大切だよって、先輩に言われた。


大変そうだけど、やっぱりやりたい気持ちはどんどん大きくなった。
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