桜花
3
◇◇◇
体が浮いたような感覚がして鏡花は目を覚ました。
漆のような闇。
それが目の前に広がっていた。
「ここどこ?」
呟いてみるが返事をするものはどこにもいない。
鏡花は心細さを押し殺し歩き出す。
進んでも進んでも続くのは闇ばかり。
自分が前に進んでいるのか、後ろに進んでいるのか全く分からない。
ふと、どこまでも続くと思われた闇に小さな白い点が見えた。