本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
悔しい、あの時と一緒だ。私はこの笑顔に騙されたんだ。
この笑顔にときめいて、この声に心を奪われ、私の初めてを捧げ…捨てられた。
あの時の辛い記憶を思い出し泣きそうになった。その時だった
「もう~~!カンナ遅すぎ!…って…あんたカンナになんかした?」
私を心配した美和が呼びに来たのだが、私の様子がおかしい事に気がついた美和は血相変えて小牧君に噛みついた。
だが小牧君は表情を変えない。
「何もしてないよ。でも何かをしたと言えばカンナさん…いえ、杏奈さんだ」
「はぁ?」
バカなこと言ってんじゃないわよと今にも飛びかかりそうな美和に小牧君は私に視線を向けた。
「俺は高校時代に杏奈にこっぴどく振られたんだよ。すっげー好きだったのに…」
結局美和にバラしてんじゃん。
全身の力が抜けるように私は項垂れた。
でも違う。振られらのは小牧君じゃなくて私なんだ!そう言おうとしたが、美和がそれを制した。
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