本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
「杏奈!」
息を切らした小牧君が現れた。
「こ・・まき・・君?」
どうして彼がここにいるのかわからなかった。
「・・・メールしても・・・電話・・・して・・も・・はぁ・・はぁ・・連絡ないから心配で・・・それで・・」
電話?メール?・・え?
私はバッグから携帯を取り出した。するとそこには尋常じゃない着信があった。
もちろんそのすべてが小牧君だった。
だが驚いていたのは私だけではなかった。
先生は一旦エンジンを止めると車から降りた。
「おい?!どうした小牧?忘れ物か?」
小牧君は不機嫌そうにちらりと私を見ると「忘れ物です」といって腕を掴んだ。
「え?!」
「俺が彼女を責任もって送るんで、つっちーはそのまま帰っていいよ」
先生も驚きを隠せない様子だった。
多分その驚きは小牧君みたいなかっこいい人が私みたいな地味子とつきあっているからなんだと思う。
だが先生の口から出た言葉は意外だった。
「お前いい趣味してるじゃん。見直したぞ!」
え?いい趣味?どういうこと?
「でしょ?つっちーには渡さないから」
どや顔の小牧君に先生はフッと笑うと私に視線を向けた。
「ナイトが登場したから俺は帰るよ。二人共気をつけて帰れよ」
そういうと早々に車に乗り車は走り出した。
残された私たちはしばらく何も話さないまま歩き出した。
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