本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
教室に入ると案の定、まだ杏奈は登校していなかった。
その事にホッとしてしまうのはどうかと思うが、とりあえず自席に座るとカバンを置いた。
すると俺が来た事に気がついた沖野や足立達が俺の周りに集まってきた。
冬休みはどうだったとかクリスマス、正月の話を面白おかしくするが、正直頭に入ってこない。
周りが笑うとそれにつられるように笑うのが精一杯でなかなか顔も上げられない。
どれだけ重症なんだと思うがマジで重症なんだから仕方がないだろと自分に突っ込みを入れる。

みんなが俺を囲むように会話を楽しんでいると窓際に立っていた杏奈の友人2人が教室の入り口に向って手を上げた。

杏奈が来た。
一気に心臓がバクバクしてきた。好きな女相手に半端なく緊張が走る。
本当は振り返っておはようって言いたいのに今の俺にそんな勇気はやっぱりなかった。
杏奈が友だちと会話をしている様だがどうしても顔を上げられない。
俺ってこんなにヘタレだったのか。
くそっ!
しかもこんな状況の俺の事を唯一知っている女がいる。
城田だ。
意味深な顔で俺達に近づく。
何を言い出すかわからない城田に俺は作り笑顔で挨拶を済ませる。
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