本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
嫌だ。これ以上傷つきたくない・・・

「もしもし?」
なんと私の代わりに美和が電話に出ていた。
「み、美和?!」
スマホを奪おうとするが美和は私から素早く距離を取り奪う事が出来ない。

「ちょっと!」
美和の性格からすると、いきなり啖呵切ってもう電話なんかするな!って言いそうな気がした。
でもそれならそれでいい。
だってこれ以上が小牧君と話すことなんかないんだもん。
だけどそう思う反面、ほんの少しだけあの時の想いが微かに胸を熱くさせていた。

だが美和は啖呵どころか、ただ小牧君の言葉に耳を傾けている様だった。
何を話しているの?
気になるのなら自分が出ればいいことなんだけど
それが出来たらきっと私の過去は少しは変わっていたのかもしれない。

結局高校生から何ひとつ変わっていないんだ。

「杏奈ちゃん」
浅野さんに呼ばれハッとした。
浅野さんは美和に視線を向けるとにっこり笑った。
「美和に任せてみたら?悪い様にはならないよ。それに僕は杏奈ちゃんの話を途中までしか聞いていないからはっきり断言は出来ないけど多分、お互い何か勘違いをしているんじゃないかなって思う」
「勘違い?」
何が勘違いなのかさっぱりわからない。
私は見たままを話した。それの何が勘違いなのか……
あの裏切り行為が嘘だとしたらあれは一体なんなの?
ぶつける術がないから自分の拳に力が入る。

あんな昔の話なのに、まるでつい最近の事のように鮮明に憶えてる。
憶えているから怖くて今だに次の恋に踏み出せない。
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