本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
目が覚めたのは翌朝だった。
気がつけば身体の上には毛布が掛けられて私の頭を優しく撫でる小牧君の顔が近くにあった。
「小牧君……」
「随分とよく眠ったみたいだね」
そりゃ昨夜は小牧君が10年分抱きつくすっていうから…と昨夜のことを思いだし顔が熱くなる。
「ねぇ、ずっと思ってたんだけどさ」
急に真面目に話す小牧君に私は視線を向けた。
「うん……」
「なんで、名前で呼んでくれないの?」
「え?」
「俺はずーっと、杏奈って名前で呼んでんだけど。杏奈はずーっと小牧君だもんな~。今から名前で呼ぶ練習しておかないと、自分が小牧杏奈になった時困ると思うんだよね。それに、俺の記憶が正しければ名前で呼んでくれたのは初エッチの時に恵って呼んでくれた時来ない」

あれ?今、なんかどさくさまぎれに凄い事言われた様な気がする。
名前を呼ぶようにしないと小牧杏奈になった時に困る。小牧……杏奈?
そ・・それって?!
びっくりしすぎて絶句してると小牧君は私の鼻をつまんだ。
「んんんーん」
「なにキョトンとしてんのさ、俺はずっとそのつもりだったけどね」
「ずっとそのつもりって?」
小牧君はまた私の鼻を強く摘まんだ。
「あのな~~さっき俺が言った事ちゃんと聞いてた?」
小牧君の顔は凄く赤くなっていた。
私は戸惑いながらも頷いた。
あれは遠まわしなプロポーズなのかな?って
やっぱりこれは夢でも見てるんじゃないかって思ってしまって・・・

「すぐにじゃないけどさ、俺の中ではずっとずっと前から杏奈は将来小牧杏奈になるって
・・・そうなってほしいって思ってた」
恥ずかしいのか私を胸に埋め、一生懸命私に話す小牧君が愛おしくて、私はうん・・うんと相槌をうった。
「ありがとう……恵」
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