ヒカリ
泉水は7時からガードマンのバイトがあるという。
大学にバイト、泉水はなかなか忙しい。

冬の夜は早く、まだ6時過ぎなのに、外に出るともうすっかり夜の気配だった。

「恵玲奈を送ってから行く。」

そう言うと、泉水は私のマンションまで歩き出した。


「ねぇ。泉水?」

さっきから泉水は鼻唄を歌っている。

「ん?なに?」

「また…遊ぼうね。もちろん暇だったらだけど…。」

泉水はふっと笑った。

「うん。俺たち、友だちだし。」

「ねぇ、泉水?」

「ん?」

「泉水っていい人だね。」

ふはっと泉水は吹き出した。

「恵玲奈ちゃん、どしたの?」

泉水は足を止めると、私のおでこに手を当てた。
私のおでこがひんやりとする。

「…なに?」

「いや、熱でもあるのかなって。」

「…ないわよ。」

泉水は笑いながら手を離した。

「急に素直になるから、びっくりした。」




泉水はいい人だ。
一緒にいて楽しい。
友だちになれてよかった。
22歳まで待った甲斐があったというものだ。

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