こころチラリ
ざわつくフロアに凛とした声が響く。


色めき立つ女性社員たち。
きゃあきゃあという声がチラホラと耳に入る。


「私語は後にしてくれ。今日からこの課を任された、速水侑斗(はやみ ゆうと)だ。
前任の古賀さんから色々聞いている。
早速一人一人と面談したい。デスク右回りの順で私のデスクまで来てくれ。話は5分程度だ。
、、、じゃあ、小林君。」


いきなりの展開に青くなる者、きゃぁとはしゃぐ者、様々だ。
何を言われるのか想像出来る分、美波は落ち着いていた。

厳しそうな速水の見た目。


背が高い。うん?180くらいかなぁ。
スーツにあっててモデルみたい。
銀縁メガネ。柔らかな焦げ茶の髪。クセっ毛なのかな。ハネてるところがあるなぁ。


ぼんやりと観察していると、当の速水と視線が合った。


厳しそうな見た目とは裏腹の優しい目。



(古賀課長、何てゆったのかな。、、、言うわけ無いか、あたしのことなんか。空気だもんね、この課の。)

目線を逸らしパソコンに向かう。


必要書類をまとめたフォルダを開き、昨日頼まれた整理を始めた。



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