生意気毒舌年下男子
「そういえば慎くん、早乙女くんは?」
「ニコっぺですか?
もうすぐ来ると思いますよ」
慎くんの言った通り、人混みから早乙女くんが現れる。
ドキッ……
「ぬう?」
「…どうしたんですか?幸来ちん先輩」
「な、何でもない」
怪訝そうな顔をしている慎くんに向かい、あたしは笑った。
今の“ドキッ……”を、あたしは知っている。
前に、久遠先輩を見た時に感じた思いだ。
その時の“ドキッ……”と同じだ。
何で早乙女くんを見ただけで、そんな気持ちがするの?
久遠先輩に対して感じた思いが……。
「どうしたんですか上野先輩」
頭上で早乙女くんの声がする。
あたしは顔を上げた。