生意気毒舌年下男子







「じゃ、行くよ―――っ?」




自転車の後ろにいつも通り早乙女くんを乗せる。

そしてペダルを強く漕ぎ出そうとした…その時だ。




「待て」




突然荷台が軽くなった。

早乙女くんが下りたんだ。




「どうしたの?」

「俺が漕ぐ」

「はっ!?」

「道覚えたから。
お前は後ろに乗れ」

「えぇ!?」

「早くしろ、遅刻するぞ」




早乙女くんはあたしを下ろし、自分が前に乗る。

状況読めていないけど、確かにモタモタしていたら遅刻しちゃう。

あたしは荷台に乗り、ギュッと早乙女くんの腰周りに手を置いた。




「しっかり掴まっていろよ?」

「うんっ……」




ゆっくりペダルを漕ぎ出す早乙女くん。

体温が伝わって来て、安心する。

あたしはますます強くしがみついた。







< 98 / 137 >

この作品をシェア

pagetop