彼岸の杜
うわー、とだるい体に叱咤激励をかまして上半身を起こす。
キョロキョロと視線を動かしてみれば、見たことはないけどなんとなーく見覚えがあるようなないような。
あ、あれだ。多分初めて見るんだろうけど家の感じと似てるから初めてな気がしないんだ。
こういうのって、何?親近感が湧くっていうのかなぁ。それとも既視感ってやつ?言葉は知ってても意味がわからんからよくわからん。
ぼけーっとしていたからか、あたしは部屋の襖が開いたのにも気がつかなかった。
「あ」
「、へ」
いきなりの声に間抜けな顔を晒しながらそちらを向く。
(うお、かっこいー……)
それが彼の第一印象だった。
深い緑色をした着物に少しくすんだ浅黄色をした帯をしていて、髪も瞳も真っ黒。
顔も一目で純日本人って分かる感じの和風なイケメン。うん、歌舞伎とかの役者でいそうだ。