彼岸の杜



むむむ、と不機嫌な顔を作ってみるけど茜はクスクスと笑うだけ。いやいいけどね。気になるのはほんとだけど無理矢理聞こうとは思わないし。


清二さんのあの様子見ちゃったら清二さんにとって大切な茜との絆、みたいなものなんだろうなぁって素直に思ったし、茜にとってもそうなんだって今ので悟った。


だからあたしが気になるからっていう勝手な好奇心でその絆を侵していいわけないもん。



「朱里は聡いのね」


「そうかなぁ…って、へっ?!初めて言われたよそんなこと!!」



聡い?あたしが?このあたしが?!え、聡いって賢いとかいう意味だよね!?


歴史のテスト以外悲惨な結果しか取れなかったこのあたしが聡いだと?!本気で言っているのか茜!!


あんぐりと口を開けてまじまじと茜を見つめるが、茜はそんなあたしに微かに首を傾げて微笑むだけで。……茜は本当にあたしが聡いと思っているらしい。


やばいぞ。何がやばいって茜ですよ。本気で思ってるとか茜には一度あたしのテスト結果を見せてあげないといけないかもしれない。


まぁ嘘でも聡いとか言われて嬉しくないわけではないけどね。そしてそこまで自惚れてもないんだけどね!


うーん、聡いって言われたって言ったら紗季に笑われるかな。うっわ、目に浮かぶわ。





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