彼岸の杜
◇6◇



空気が動いたようなささやかな変化にもぞもぞと動くと調度茜が起きたところみたいであたしもそれなりに目が覚めた。



「んー…おはよ」


「あら、おはよう朱里。まだ早いわ」



寝ててもいいのよ、と伝えてくれる茜にあたしは寝ぼけ眼のまま首を振って起きた。なんというか、うん、目が覚めちゃったんだもん。


ふぁ、と欠伸をこぼしてノロノロと布団を片付ける。朝は結構強い方だと思うけどこんな時間に目が覚めたのは久しぶりだ。てか茜はいつもこの時間なのか。早いな。


うーん、と背伸びをして着物を整える。茜の後に続くように外に出ると顔を洗ってひんやりとした空気を肺いっぱいに吸い込んだ。



「茜ー?」



どこにいるのかと声をかけてみればひょっこりと桶と柄杓を持った茜が顔を出して「おはよう」とニッコリ笑ってくれる。


あ、そういえば朝って彼岸花の水やりしてるって言ってたっけ。あたしが起きる頃終わってるもんなぁ。うん、せっかくだしついていこうじゃないか。


ということで茜に聞けばすんなりOKをもらったのでついて行く。朝から鮮やかな赤い彼岸花は露に濡れてキラキラと光っている。


いつ見ても綺麗なところだよなぁ…ここまで彼岸花がいっぱい咲いてるところって現代社会では見ないし。というか自然破壊がうんたらこうたらっていう時代だもん。花自体あんま見ない。


この時代来てからどれだけ自然がなくなってるのかってまざまざ見せつけられた気がするよ。




< 88 / 162 >

この作品をシェア

pagetop