強引社長の甘い罠
第五章

愛に満ちたキス

 デニムのミニスカートにパフスリーブの白いブラウスを着た私は、祥吾の車の助手席で硬くなっていた。後部座席には一泊分の着替えを詰め込んだ赤い旅行バッグが転がっている。白いクロップドパンツにカーキ色のシャツを着た祥吾は運転中だ。

 私はハンドルに添えられた祥吾の長い指を見つめた。それから程よく筋肉のついた腕へ、セクシーな喉仏へと視線を走らせる。黒曜石のような髪はサラサラでクセ一つなく、整った高い鼻は横から眺めても美しい彫刻像のようだ。うっとり見惚れてしまう。彼の唇の端が持ち上がった。白い歯が零れる。

「何を見ているんだ?」

 祥吾が視線を動かさず言った。彼はずっと前を向いていたけれど、私がジッと見つめていたことはバレていたみたい。

「景色よ」

 私が答えると、祥吾は声を出して笑った。

「景色はこっちじゃないだろう?」

 チラリと一瞬だけこちらを振り向いた祥吾を見て、私の心臓がトクンと鳴った。サングラスのせいであの魅力的なブルーの瞳は隠れてしまっているけれど、この小道具も祥吾の魅力を充分に引き立てている。
 いつもと違うラフなスタイルの祥吾はリラックスしていた。今この瞬間を楽しんでいるのがよくわかる。そして私は、今朝からほんの少し緊張していた。
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