色恋 〜Colorful Loves〜
でも、話し込んでいるうちに、ずいぶんと夜が更けてきてしまった。


そろそろ床に入らなければ、誠一郎さまのお帰りの時間になってしまう。



「誠一郎さま」


「はい」


「隣の間に、床が敷いてございます」



私が静かにそう言うと、誠一郎さまは大きく目を見開いた。



「………いえ、あの」



困惑したような表情。


初めてのことだから、戸惑っているのだろう。



お得意さまの葦原さまに頼まれているのだから、私が導いて差し上げなければ。



私は誠一郎さまの手をとり、立ち上がろうとする。


その瞬間、誠一郎さまの身体がびくりと震えた。



「………おそろしいのですか?」



囁くように問うと、誠一郎さまは、なぜか苦しげな面持ちになった。



「………いえ、そうではありません」



誠一郎さまは両手で私の右手を包み込む。


大きくて冷たい手だった。




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