色恋 〜Colorful Loves〜
くるくると働く彼の手をぼんやりと見つめながら、あたしは順番が来るのを待った。





「568円のお返しになります。

ありがとうございました。

お次のお客様どうぞ。

お待たせいたしました」





流れるように言った彼が、あたしの顔をじっと見る。



ぼんやりしていると、「お待たせいたしました、どうぞ」と笑いかけられた。




そこで、はっとする。




「あ、すみません、お願いします」




あたしは慌ててレジの台に商品を置いた。




栄養ドリンクとスポーツドリンクとプリンとヨーグルト。



なんだか、すごく貧相だ。




いつもは、仕事帰りにここでがっつりとお弁当を買って帰るんだけど、


今日は食欲がなくて、こんなものしか食べられそうになかったのだ。





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