色恋 〜Colorful Loves〜
「隣にある定食屋、12時までやってて、栄養たっぷりの料理出してくれますよ。

ぜひ食べて帰ってくださいね。

コンビニのものばっかりだと、偏っちゃいますから」




「え……? あ、はい」




「じゃあ、お大事に」




柔らかい笑みに見送られて、あたしはコンビニを出た。



コンビニの店員から、コンビニのものを食べるなと言われてしまった。



ふふ、と笑みがこぼれる。




ひとから身体のことを心配してもらったのなんて、いつぶりかな。



親元を離れて社会人になってからは、風邪なんか引いても、誰にも気づいてもらえなかった。




なのに、紫のカラコンのあの人は、毎晩ちょっと買い物に来てるだけのあたしの体調が悪いことを、心配してくれたのだ。




あたしは緩んでしまう口元を押さえて、コンビニの隣の定食屋に入った。



明日、またあの人に会いに行って、感想を伝えよう。






カラコンの人 * Fin.




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