オオカミくんと秘密のキス
まだお互いの溝は深いか…
これは春子と樹里と絢人が仲良かったから、トラブルになってるんだよね。
それぞれがそれ程親しくなかったら、こんなふうにもめなかったと思う。
でも逆に考えれば、すごく仲が良かったから深く傷ついてこんな関係になっちゃったんだよね…
お互いを信頼していたから余計に…
だからきっと仲直りできるはずだよ。私はそう信じてる…
「では、カップルイベント題して『ベストカップル決定戦』を始めたいと思いマースっ!!!」
すると突然司会役の生徒らしきチャラそうな男子が、派手な格好をして校庭の朝礼台に乗りマイクを持って叫び始めた。
イベントに参加する私達はその辺りにぞろぞろと集まり、司会の男子に注目する。
「ルールは簡単~!今から配る地図を見て、障害物をどんどんクリアしていってくださーい!最初にゴールした人が優勝になるよーん♪」
なるほど。
案外単純な競技なのかな…
それ程難しくなければ、春子と樹里カップルと絡んで楽しめるかも!
あくまでもこれは「仲直り」する為に参加するわけだしね!!
「手錠で片手を繋がれた状態で…君達はこの障害を乗り越えられるか!?2人の愛が試される時♥」
う…
めちゃめちゃ恥ずかしいこと言ってる…
イベント開始時間が近づいてくるにつれ、ギャラリーにはたくさんの人が集まって来ている。
生徒だけだったらまだしも先生や両親達、それに中学生の姿も…
こんなに見られてるなんて…真面目に照れる…
「…賭けてもいい?」
すると、凌哉くんが私達にヒソヒソと小さい声でそう問いかけた。
私達は一斉に凌哉くんに注目する。
「負けたカップルは…今日の晩飯代おごるのはどう?」
「えっ…」
賭けるって…今日の晩飯代をかけてってこと?
「そんなこと賭けてどーするの?夕飯代をおごるくらい別にどってことないよ?」
首を傾げる春子に、凌哉くんはいたずらっぽい顔をして笑った。
このドS顔…何考えてるんだろ…
「…甘いな。おごるのはその辺のファーストフードかなんかだと思ってるだろ?」
「う…お前まさか……」
カンが鋭くてもうかれこれ長い付き合いの柳田くんは、凌哉くんが何を考えているかおおよその予想はついているようだ。
「行くのは隣駅ナカのビュッフェ。あそこの中華食べ放題が好きで家族でよく行くんだけど…あそこは90分制で1人1500円なんだよ。ということは…」
この人数で行くとなると…結構かかる。
高校生の私達にしてみればかなり痛い出費だよね…
「ちょ、ちょっと勝手にそんなっ…」
慌てる樹里を見て、柳田くんが諦めたような言い方で止めた。
「凌哉は言い出したら聞かないからね。断っても面倒くさいし、ここは大人しく従った方がいいよ」
「さすが圭吾だな。別に参加したくなければ帰ってもらって結構だけど…金払ってもらうからな」
怖い顔をして言う凌哉くんに、樹里や絢人はビビりまくっていた。
「い、いーわよ!やるわよ!とりあえず負けなければいいんでしょっ」
春子はそう言って、着ているジャージの腕をまくった。
「私もいいわよ!やってやる!」
樹里は気合いを入れたように唇を噛み締めて、拳を強く握った。
凌哉くんは「そう来なくちゃ」と言って、ニヤリと笑った。
「では今から地図を配りマース!スタートの合図があるまでは絶対に開けないで下さいね~」
イベントの係の生徒達が参加カップルに地図を配り始める中、私はこっそり凌哉くんに話しかけた。
「凌哉くん…」
「ん?」
手を口元に当てて話す私を見て、凌哉くんは私に耳を近づけてくる。
「どうしてあんな賭けしたの?」
ちょっと凌哉くんらしくないというか…あんな提案するなんて意外だったから…
「…なんかあいつらやる気ない感じだったからさ。あんな感じで競技に出ても何にもなく終わっちゃう気がしたし、多分仲直りも出来ないと思ったんだ」
これは春子と樹里と絢人が仲良かったから、トラブルになってるんだよね。
それぞれがそれ程親しくなかったら、こんなふうにもめなかったと思う。
でも逆に考えれば、すごく仲が良かったから深く傷ついてこんな関係になっちゃったんだよね…
お互いを信頼していたから余計に…
だからきっと仲直りできるはずだよ。私はそう信じてる…
「では、カップルイベント題して『ベストカップル決定戦』を始めたいと思いマースっ!!!」
すると突然司会役の生徒らしきチャラそうな男子が、派手な格好をして校庭の朝礼台に乗りマイクを持って叫び始めた。
イベントに参加する私達はその辺りにぞろぞろと集まり、司会の男子に注目する。
「ルールは簡単~!今から配る地図を見て、障害物をどんどんクリアしていってくださーい!最初にゴールした人が優勝になるよーん♪」
なるほど。
案外単純な競技なのかな…
それ程難しくなければ、春子と樹里カップルと絡んで楽しめるかも!
あくまでもこれは「仲直り」する為に参加するわけだしね!!
「手錠で片手を繋がれた状態で…君達はこの障害を乗り越えられるか!?2人の愛が試される時♥」
う…
めちゃめちゃ恥ずかしいこと言ってる…
イベント開始時間が近づいてくるにつれ、ギャラリーにはたくさんの人が集まって来ている。
生徒だけだったらまだしも先生や両親達、それに中学生の姿も…
こんなに見られてるなんて…真面目に照れる…
「…賭けてもいい?」
すると、凌哉くんが私達にヒソヒソと小さい声でそう問いかけた。
私達は一斉に凌哉くんに注目する。
「負けたカップルは…今日の晩飯代おごるのはどう?」
「えっ…」
賭けるって…今日の晩飯代をかけてってこと?
「そんなこと賭けてどーするの?夕飯代をおごるくらい別にどってことないよ?」
首を傾げる春子に、凌哉くんはいたずらっぽい顔をして笑った。
このドS顔…何考えてるんだろ…
「…甘いな。おごるのはその辺のファーストフードかなんかだと思ってるだろ?」
「う…お前まさか……」
カンが鋭くてもうかれこれ長い付き合いの柳田くんは、凌哉くんが何を考えているかおおよその予想はついているようだ。
「行くのは隣駅ナカのビュッフェ。あそこの中華食べ放題が好きで家族でよく行くんだけど…あそこは90分制で1人1500円なんだよ。ということは…」
この人数で行くとなると…結構かかる。
高校生の私達にしてみればかなり痛い出費だよね…
「ちょ、ちょっと勝手にそんなっ…」
慌てる樹里を見て、柳田くんが諦めたような言い方で止めた。
「凌哉は言い出したら聞かないからね。断っても面倒くさいし、ここは大人しく従った方がいいよ」
「さすが圭吾だな。別に参加したくなければ帰ってもらって結構だけど…金払ってもらうからな」
怖い顔をして言う凌哉くんに、樹里や絢人はビビりまくっていた。
「い、いーわよ!やるわよ!とりあえず負けなければいいんでしょっ」
春子はそう言って、着ているジャージの腕をまくった。
「私もいいわよ!やってやる!」
樹里は気合いを入れたように唇を噛み締めて、拳を強く握った。
凌哉くんは「そう来なくちゃ」と言って、ニヤリと笑った。
「では今から地図を配りマース!スタートの合図があるまでは絶対に開けないで下さいね~」
イベントの係の生徒達が参加カップルに地図を配り始める中、私はこっそり凌哉くんに話しかけた。
「凌哉くん…」
「ん?」
手を口元に当てて話す私を見て、凌哉くんは私に耳を近づけてくる。
「どうしてあんな賭けしたの?」
ちょっと凌哉くんらしくないというか…あんな提案するなんて意外だったから…
「…なんかあいつらやる気ない感じだったからさ。あんな感じで競技に出ても何にもなく終わっちゃう気がしたし、多分仲直りも出来ないと思ったんだ」