俺22歳、アイツ3歳2ヶ月
優と二人、海の家の前のコカコーラーの赤いベンチに腰をかけて

優は自分の体より大きい浮き輪を抱きかかえ

俺は優にせがまれて買わされたカブトムシの形の浮き輪を持たされながらももちゃんの登場を待っていた。



蝉のジリジリと鳴く声に囲まれながら、むせかえる様な暑さの中、優と俺は汗をにじませながらジッと待っていた。



そんな暑くてどうしようもなかったのに

白の水着姿のももちゃんの登場で優はどうだか知らないけれど俺の汗はスーッと引いていった。


汗どころか背筋もピンと伸びて言葉に詰まってしまって

「ごめんね。待たせちゃって・・・」の言葉に「全然!!」と言うのが精一杯だった。



女の子が喜ぶような、気の利いた言葉は一つも出てはこなかった。
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