俺２２歳、アイツ３歳２ヶ月
八の字に走る新幹線にまたがりながら俺の前を通るたびに手を振る優・・・。


本当は手を振り返せばいいのだろうけど、照れくさくてそれは出来なかった。


ただ、満面の笑みの優が愛おしく感じてはいた。


乗り物が止まり終了の合図が聞こえると優は名残惜しそうにゆっくりと降りると俺の方へまた、走ってきた。



「次は何に乗りたい？」

そう俺が言うと優は物凄くキョトンとした顔で俺を見上げた。



「１ッコ　ダケ　チャウノ？」


不思議そうに俺に尋ねてくる。

思わず笑ってしまった。


優は、いっつも沙月とこういう所に来ると「１個だけ」という約束で乗物に乗せてもらっていたんだろう。

それが、乗物から降りた途端「次は？」の質問に不思議に思ったようだった。


「今日はいいよ。好きなだけ乗れよ。」

そう俺が言うと、優は少し考えて周りを見渡すとやっと意味がわかったのか笑顔になって

また俺の手を引いて今度は車の乗り物に連れて行った。
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表紙・目次

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