レイアップ

タイムアウト

長い夏休みも半分が終わろうとしていた。

おれは、相変わらず毎日体育館に通い、ミウとバスケをして時間を潰す。
なまっていた体はすっかり引き締まり、なんとかミウからシュートを決められるまでになっていた。とはいっても、まだまだ負け越してばかりだけど。

いったいマジで何者なんだ?ミウへの興味は日に日に増していく。でも、まだおれは何一つミウに聞くことが出来ずにいた。


「今日もまた私の勝ちだね。いつものよろしくぅ」

そういって、ミウが嬉しそうにはしゃぐ。
おれが負けたらポカリ一本。それがいつの間にかルールになっていた。おれは適当に返事を返して、体育館から少し離れた第一校舎にある自販機までポカリを買いに行く。これがお決まりのパターンだ。


こんなに毎日顔を付き合わせているのに、解っているのは名前と携帯の電話番号とメールアドレス、あとはおれと同じくらい暇人ってことくらい。

明日勝ったら何から聞こう。自販機の前に立って考える。これもいつものパターン。

『まず勝ってから考えろよ』

また、あの少年の声が聞こえた気がしたが、その声はガタンとジュースが出てくる音でかき消された。



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