雨が降るから。


疲れた。



「ただいまー」




「おっかえりなさぁ〜い!!琉ちゃん、今おやつ持ってくね!!」



「え…毎日おやつなんてもういらないよ…明日はいらないからね」



「え〜??でもっ、今日は食べてくれるのよね?母さん、琉ちゃんのそういうところが好きだわ〜っ」




その言葉を無視して俺は、自室へと向かう。



俺の親は一人っ子で生まれた俺を異常なくらい可愛がっている。



だから毎日毎日手作りのケーキとかクッキーとか、そんな手作りのおやつを俺のために作っている。

そんな親バカな母さんだけど、父さんは普通に厳しいくらいの平凡な父だ。


門限とかはないものの、勉強とスポーツの両立だとか女の子のことは絶対に守れ...とかいちいちうるさい気もするようなことを言い始めたりもするけれど...



一人っ子の親は大体そんなもんだろう、と勝手にいいように解釈することにしている。



「はぁ…つかれた」





自分の部屋に入りベッドにダイブする。
昼に母さんがくれたのかポカポカして布団が気持ちいい。

このまま寝てしまったら本当に気持ちがいいのかもしれないな、なんて思って目を閉じると案の定パタパタとスリッパの足音が聞こえてぼんやりと目を開ける。



ほんとに眠い。

疲れが溜まってる。もうむりだ。




そう思いながらも、母さんが作ってくれたおやつを置くためのミニテーブルを用意してあげる。



本当に俺っていい奴。



とんとん、とノックの音が聞こえてすぐに過アカンがおれの部屋に入ってくる。


今日はいちごのババロアだよ、って語尾にハートマークをつけながら。


俺がさっき用意したミニテーブルへ、一人分のそれを置く。


ちょうど1人が2人が使う用の小さなテーブルだから、一人分置かれたそれにはなんの違和感もない。



「…ありがと。」



「はーいっ!!ふふっ」



「…何笑ってんの」





「…なんでもないー!…そーういえばさ、」




すとん、と俺の横に腰を下ろした母さんがさっきよりも少しだけトーンを落として言った。



「最近…優花ちゃんは連れてこないの?」



「え?」



「ほら…前はよくうちに遊びに来てたじゃない」






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