空まで届け
次の日、いつもより1時間早く起きて、
すごく早い時間に行った。
教室にはまだ誰もいなくて、
少し ホッとした。
私は持っていた鞄を机の横に置き、
そのまま屋上へと上がっていった。
別に用があったわけじゃないけど、
いまの私にとっていちばん落ち着く場所だったから。
━━カサッ。
なにかの音がして私は驚いた。
そして、その音の方を見るとそこには
ちいさな紙飛行機があった。
中には何か書いてあるようで、
私は周りを確認したあとその紙を開いた。

《生きたい》

とても濃い筆圧で紙飛行機には
そう書かれていた。誰がこれを…。
そう考えていると、風が吹きその紙が
飛んでいってしまった。
私はなんだか無くしてはいけない気がして
その紙を追いかけた。
生きたい。そう強く願った紙飛行機は
一輪の花に辿りついた。
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