巡逢~茜色の約束~
「他のヤツ等に、後で状況を詳しく聞いた。殴ったことは勿論よくないが、一概にお前だけが悪いとは言えんとの判断だ」

「……」

「向こうの親御さんも、逆にアイツのしたことを謝ってた」

「え……」

「だからってお咎めなしってわけにはいかないからな。退学なんかに比べれば、こんなもの大したことないだろう」



予想外の展開。

退学覚悟で職員室に足を踏み入れたのに。



「あ、ありがとう……ございます……」



あまりに意外過ぎて、考えるよりも先に言葉が出ていた。



「それなら校長に言うんだな。……あぁ、そうだ。お前、教室には寄ったか?」



担任の問い掛けに、首を横に振る。



< 112 / 374 >

この作品をシェア

pagetop