巡逢~茜色の約束~
ふう、と息を吐いて職員室を後にする。

廊下を歩き、3年のフロアに到達したところで──



「……」



一気に視線が集まった。



まぁ……普通に考えればそうだよな。

高3のこの時期に、なんて、俺が言えた台詞じゃない。

理由がどうであれ、他人から見ればただの“停学者”だ。



「……はぁ」



だからって今更、人の視線に傷付くなんてことはない。

人から陰口を叩かれることにも、独りでいることにも、この3年間で随分と慣れたから。



何の躊躇いもなく教室の扉を開ける。

と、案の定全ての視線が俺に向けられた。



それらを軽く受け流し──かけたところで、制服の違う生徒が目に飛び込んでくる。



< 114 / 374 >

この作品をシェア

pagetop