巡逢~茜色の約束~
一人用の土鍋に水を入れつつ、窓の外に視線を移した。

昨夜同様、空には厚い雲がかかっていて、大きな雨粒を地上に降らせている。



そう言えば昔、雨は神様の涙だって思ってたっけな。

雨が降ってるときは神様に悲しいことがあったんだ、って思ってハラハラしてた。

雨が何故降るのかを小学5年生のときに学んでからは、何も思わなくなったけど、



「……“神様”は何が悲しいんだろう」



今現在、それはあながち間違いじゃないんじゃねえかって、そう思うんだ。





「机の上に粥置いといたから。食えそうだったら食って」



扉越しに言うと、中から小さな声で「ありがとう」と返ってきた。



「じゃあ俺行くな。何かあったら、ケータイに連絡して」



そう言い残して、家を出た。



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