好きになんてなるわけねーだろ!!!


下校時間すぎるから。


そう言って俺の手を引き杏奈は学校を出た。

家の近くの公園で俺が泣き止むのを待つ。


少し落ち着いたころ、俺は小さく話し出した。


「今日、先輩に殴られた。」


突然呟いた俺に、杏奈は驚いて、でも黙って聞いてくれる。


「でも…さっき慰めてもらったから。平気。」

『本当?』

「本当。」


杏奈はまだ心配そうにする。


「うん、杏奈もありがとな。」

『私なんもしてないよ。』


いや、いつもいつも、助けてもらってたよ。


なんて、そんなことは素直じゃない俺に言えるわけないけど。


「俺さ、サッカー好きなんだ。」

『…?うん。』


「だから、平気だよ!」


なにが言いたいかが伝わったらしく、杏奈はほっと笑顔になった。


『うんっ!』




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