ツンデレ専務と恋人協定
「あんなの参加したって無意味だからだ」

「それって、応募してもどうせ私なんか選ばれないって言うことですか?」


そうかもしれないけど、でもやってみなきゃ分からないじゃない!

やる前から諦めてたら何もできないし、それに私には他に出来る仕事がない。


「そうじゃねぇよ。あれは、初めから決まってんの!」

「決まってるって何がですか?」

「優勝者」


優勝者が決まってる?
やる前から誰が選ばれるか決まってしまってるってこと?

「それって、出来レースってことですか?」

「そう言うこと」


なに、それ?
そんなことがあっていいの?

社員たちは優勝しようと寝る時間も削って頑張ってるって言うのに!


「最低っ!」

「俺を睨むなよ。俺がやってるんじゃねぇんだから」


わかってる。
コンペの審査員のところにも専務の名前はなかった。

確か、社長とか常務の名前はあった気がするけど。


「だけど!専務なら何とかするべきです!真面目に頑張ってる社員が可哀想です」

今日の私は言いたいことを言い過ぎかもしれないけど、だけど言わずにはいられなかった。

専務は黙って運転をしていて、何も言わずに私を送り届けてくれた。


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