【完】千鳥の舞う花火。
お互い顔を真っ赤にして、しばらくは視線を合わせることが出来なかった。
良い意味で何だか気まずいまま。
俺達は打ち上げられる花火を見つめていた。
花火を見上げて、千鳥がポツ、と。
「……また、二人で花火を見に来よう。」
「……あぁ、約束な。」
二人きりの夏。
二人きりの花火。
二人きりの約束。
海がザブーーンと音を立てる。
怖い話は平気なくせに、小さい波で怯える千鳥。
「昴、今年の花火大会、また見に行こう。」
俺との約束、千鳥は忘れていなかった。
「……俺はそのつもり。」